言えよ、俺が欲しいって。






「で?どうして泣いてたの」



ただ今、七瀬くんのお家です。
七瀬くんに抱きつきながら泣きじゃくるあたしを、いつの間にか七瀬くんに連行されて着いた場所が七瀬くんのお家だった。


七瀬くんは、このお家に住んでるんだね!

すごく綺麗で大きい。



「ねぇ、俺の質問に答えて」



「あっ、はい」



七瀬くんのお家なんて、この先滅多に入れないと思うからたくさん見ておこうと思ったんだけど…。


目の前のテーブルに七瀬くんはあたしの分のジュースを入れたコップを置いてくれた。



「ありがとう……あのね、」



あたしは、話し始める。


でも、話している途中に気づく。
こんなこと話していいのかって。
あたし、仮にも目の前の人に告白したんだよ?

告白した相手に、違う男子とデートした挙句キスされたなんてことを言わないといけないの?


ダラダラと流れる汗。



「泣きついてきたのは誰?」



七瀬くんは半笑いで、なかなか話を進めないあたしに怒っている様子。


あたしは、冷や汗をかきながら七瀬くんに全てを話す。

もう、どうなったっていいや。
嫌われたっていいや。
むしろ、最初から嫌われてるんだもん。


でも…どうして。あたしを助けてくれたんだろう。あたしのこと、嫌いなはずなのに。

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