言えよ、俺が欲しいって。


「バカだね、白咲は。俺のことが好きなら、俺だけ見てればいいのに」



フッと余裕な笑みでそういう七瀬くん。

でもあたしもちょっとムッとしちゃう。
相川くんとキスしたっていうのに、そんな態度なんだもん。

相川くんにキスされて凄く悔しかったけど。

七瀬くんにも悔しいとかって、嫉妬してほしかった。
そんなこと、ありえるはずないんだけど!


それでも、余裕すぎる七瀬くんに少しムッとする。



「白咲は、誰が好きなの」



七瀬くんの質間にあたしは、キョトンとする。

何言ってるの、七瀬くん。



「俺が好きって言っておきながら、他の男とデートするんだね」



「っ、」



違う。違うよ、七瀬くん。

そう言いたいのに言えないのは、図星だから。
いくら言い訳しても、あたしが相川くんとデートして、例えあたしの意志じゃなくてもキスをしてしまったのは事実だ。



「でも…七瀬くんが好きだよ…」



あたしの好きな人は、七瀬くんだよ。
それは、変わらないんだよ。

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