愛なんていらない
2
「まりか、会いたかった」
「私も会いたかったです」
貼り付けたような笑顔に、貴方は気づいているだろうか。
ぎゅっと私を抱き締める体からはいつも通りの柔軟剤の香り。
嗅覚にそれ以上の余計な情報を与えてこない。
ちょうど抱き締められた時に胸の辺りに収まる自分の頭。
その位置にも慣れてしまった。
そっと頭を撫でてくれる手にも。
そのまま少し上を向いて唇に触れることにも何も抵抗はなくなった。
貴方の手が直ぐに胸に移動していくことにも何の違和感も無くなってしまった。
「会いたい」と言われることはあっても「好きだ」と言われることはないことにだけ気付かない振りをしている。
「会いたい」と言われれば「私も」と返す。
怖くて「好きだ」と言えない私も同罪だ。
「私も会いたかったです」
貼り付けたような笑顔に、貴方は気づいているだろうか。
ぎゅっと私を抱き締める体からはいつも通りの柔軟剤の香り。
嗅覚にそれ以上の余計な情報を与えてこない。
ちょうど抱き締められた時に胸の辺りに収まる自分の頭。
その位置にも慣れてしまった。
そっと頭を撫でてくれる手にも。
そのまま少し上を向いて唇に触れることにも何も抵抗はなくなった。
貴方の手が直ぐに胸に移動していくことにも何の違和感も無くなってしまった。
「会いたい」と言われることはあっても「好きだ」と言われることはないことにだけ気付かない振りをしている。
「会いたい」と言われれば「私も」と返す。
怖くて「好きだ」と言えない私も同罪だ。