祓魔師陛下と銀髪紫眼の娘―甘く飼い慣らされる日々の先に―
その原因と思われし本人に今から直接会うこと思うと、緊張が走る。とあるドアの前でオスカーが足を止め、改めてリラとエルマーに向き直った。
「この部屋でメラニーは普段、過ごしています。でも、ここは元々ゴットがずっと篭っていた書斎なんです。昔はもっと明るい女の子だったのに、いつからかほとんど話をしなくなり、それと同時にあの子はこの部屋でゴットの残した本を読み漁るようになりました。いくら止めてもきかなくて、妻もあんな調子に……」
オスカーは言葉を止めた。そしてリラとエルマーに、どうかメラニーをお助けください、と深々と頭を下げる。案内されたのは、一階の突き当たり奥の部屋だった。
「メラニー、お客様だよ。入るね」
ドアをノックし、オスカーが一応断りを入れてから、返事を待たずに開ける。それに続いたリラは緊張した面持ちで中を覗いた。
部屋はお世辞にも広いとは言えず、いや正確には広いのかもしれないが、そう感じさせないほどの圧迫感と密集感だ。
向かって左奥に書斎机がひとつあり、光が当たるようにか、机から手が伸ばせそうなほどの距離で、斜め右上に窓がある。
そして両サイドの壁に沿って、天井に届きそうな高さの本棚がこちらに迫るように連なり、それぞれにびっしりと分厚い本が並んでいた。
「この部屋でメラニーは普段、過ごしています。でも、ここは元々ゴットがずっと篭っていた書斎なんです。昔はもっと明るい女の子だったのに、いつからかほとんど話をしなくなり、それと同時にあの子はこの部屋でゴットの残した本を読み漁るようになりました。いくら止めてもきかなくて、妻もあんな調子に……」
オスカーは言葉を止めた。そしてリラとエルマーに、どうかメラニーをお助けください、と深々と頭を下げる。案内されたのは、一階の突き当たり奥の部屋だった。
「メラニー、お客様だよ。入るね」
ドアをノックし、オスカーが一応断りを入れてから、返事を待たずに開ける。それに続いたリラは緊張した面持ちで中を覗いた。
部屋はお世辞にも広いとは言えず、いや正確には広いのかもしれないが、そう感じさせないほどの圧迫感と密集感だ。
向かって左奥に書斎机がひとつあり、光が当たるようにか、机から手が伸ばせそうなほどの距離で、斜め右上に窓がある。
そして両サイドの壁に沿って、天井に届きそうな高さの本棚がこちらに迫るように連なり、それぞれにびっしりと分厚い本が並んでいた。