祓魔師陛下と銀髪紫眼の娘―甘く飼い慣らされる日々の先に―
食堂の片付けはオスカーとユアンがすることになり、他の面々は違う部屋に移動する。後から来たヴィルヘルムとクルトのためにエルマーがオスカーから聞いた話も含め、今までに起こったことを手短に説明した。
「それにしても、我々の報告を待ってから、という話だった気がするんですが」
呆れたような声をヴィルヘルムに投げかけて、一通りの説明を締めくくる。投げかけられた側は何食わぬ顔だ。
「謁見と執務のスケジュールがちょうど上手く空いたんだ。また来ることの手間を考えたら、早々に片付けた方がいいだろ。それに“今日は日がいい”」
「で、結局、メラニーに悪魔が憑いてんのか?」
苛立ちを含んだブルーノの声にヴィルヘルムはなにも答えず、ほとんど部屋に入ってから黙ったままのリラに視線を送った。言葉がなくても、それがどういう意味なのかは理解できる。
「メラニーになにかが憑いているようには見えませんでした。でも、なにかがここにいるのは感じます、はっきりとは分かりませんが」
「分からなければ意味がないのでは?」
クルトが冷たく切り捨てる。そこは自覚がある分、リラは悔しさと申し訳なさで唇を噛み締めた。
「存在を主張してこないというのは、それだけで手がかりだ。それに分からないものは正直に分からないと言ってくれた方が有難い」
ヴィルヘルムの助け船にクルトは眉間の皺を増やしただけで、なにも言わない。下手に自分の力を誇示したがったり、気に入られようと、適当なことを言われるよりはマシだ。そういう連中が多いのをクルトもよく知っていた。
「それにしても、我々の報告を待ってから、という話だった気がするんですが」
呆れたような声をヴィルヘルムに投げかけて、一通りの説明を締めくくる。投げかけられた側は何食わぬ顔だ。
「謁見と執務のスケジュールがちょうど上手く空いたんだ。また来ることの手間を考えたら、早々に片付けた方がいいだろ。それに“今日は日がいい”」
「で、結局、メラニーに悪魔が憑いてんのか?」
苛立ちを含んだブルーノの声にヴィルヘルムはなにも答えず、ほとんど部屋に入ってから黙ったままのリラに視線を送った。言葉がなくても、それがどういう意味なのかは理解できる。
「メラニーになにかが憑いているようには見えませんでした。でも、なにかがここにいるのは感じます、はっきりとは分かりませんが」
「分からなければ意味がないのでは?」
クルトが冷たく切り捨てる。そこは自覚がある分、リラは悔しさと申し訳なさで唇を噛み締めた。
「存在を主張してこないというのは、それだけで手がかりだ。それに分からないものは正直に分からないと言ってくれた方が有難い」
ヴィルヘルムの助け船にクルトは眉間の皺を増やしただけで、なにも言わない。下手に自分の力を誇示したがったり、気に入られようと、適当なことを言われるよりはマシだ。そういう連中が多いのをクルトもよく知っていた。