祓魔師陛下と銀髪紫眼の娘―甘く飼い慣らされる日々の先に―
「なぜ、お前が謝る?」
「ごめん、なさい」
リラは俯いたまま、壊れた人形のように同じ言葉しか繰り返せない。この謝罪がなにに対してのものなのか、リラにも明確に理解できない。
ヴィルヘルムの事情を知って、自分がなにもできないことに対してか。事情も知らずに、失礼な質問を投げかけたことか。分からない。けれど、謝らざるをえなかった。そうしないと心が壊れそうだった。
ヴィルヘルムは再度リラを抱きしめて、そのままベッドに身を倒した。額同士を合わせて強引に視線を交わらせる。
「そんな顔をせずに笑っていろ」
命令された言葉とは反対に、リラの視界は涙で歪んでいく。王はそっとリラの目元に唇を寄せた。リラは反射的に目を閉じる。そして、ゆっくりと離れて、互いに見つめ合ってから唇を重ねた。
先ほどの口づけをやり直すかのように、優しく、甘く、慈しむかのような触れ方だった。それだけでは物足りなくなって、リラは思い切ってヴィルヘルムに腕を回して密着させる。
応えるように、ヴィルヘルムもリラを強く抱きしめ返して、深く求めた。
「最後まで、そばにいてくれないか?」
切ない吐息混じりに囁かれた言葉に、リラの心は大きく揺らいだ。整わない息は、この口づけのせいなのか、それとも――。
泣きそうになるのを必死に我慢して、静かに目で応えると、リラから唇を重ねた。冷たくて暗い夜、穏やかなオレンジ色の光だけが二人を照らしていた。
「ごめん、なさい」
リラは俯いたまま、壊れた人形のように同じ言葉しか繰り返せない。この謝罪がなにに対してのものなのか、リラにも明確に理解できない。
ヴィルヘルムの事情を知って、自分がなにもできないことに対してか。事情も知らずに、失礼な質問を投げかけたことか。分からない。けれど、謝らざるをえなかった。そうしないと心が壊れそうだった。
ヴィルヘルムは再度リラを抱きしめて、そのままベッドに身を倒した。額同士を合わせて強引に視線を交わらせる。
「そんな顔をせずに笑っていろ」
命令された言葉とは反対に、リラの視界は涙で歪んでいく。王はそっとリラの目元に唇を寄せた。リラは反射的に目を閉じる。そして、ゆっくりと離れて、互いに見つめ合ってから唇を重ねた。
先ほどの口づけをやり直すかのように、優しく、甘く、慈しむかのような触れ方だった。それだけでは物足りなくなって、リラは思い切ってヴィルヘルムに腕を回して密着させる。
応えるように、ヴィルヘルムもリラを強く抱きしめ返して、深く求めた。
「最後まで、そばにいてくれないか?」
切ない吐息混じりに囁かれた言葉に、リラの心は大きく揺らいだ。整わない息は、この口づけのせいなのか、それとも――。
泣きそうになるのを必死に我慢して、静かに目で応えると、リラから唇を重ねた。冷たくて暗い夜、穏やかなオレンジ色の光だけが二人を照らしていた。