祓魔師陛下と銀髪紫眼の娘―甘く飼い慣らされる日々の先に―
「っ、や、め」

 言葉を発しようとしても、それはすぐに封じ込められる。快楽なんて得られるはずない。荒い息遣いと唾液の混ざり合う音が不快でしょうがない。

 そして、さすがに王の手が乱れた服の合間から覗く白い肌に直に触れたときは、リラは息を呑んで目を見張った。

「ひっ」

 これから起こることへの恐怖に顔を引きつらせると、まるでその表情を見たかったとでも言わんばかりに、王は満足げにリラを解放した。

 リラは必死で息を整え、体を起こし、手元にあるシーツを自分を守るようにして引き寄せる。ヴィルヘルムはそのままベッドに腰を落とすと、口の端を上げて呟いた。

「やはり、魔女の疑いのある女とまぐわい合うほどの度胸は、連中にはなかったということか」

 意味が分からずに王を見ると、その視線がこちらを向いた。二人の視線が静かに交わる。

「お前が処女かどうか見極める必要があったが、どうやら最後までする必要はなさそうだな」

「なっ!?」

「しょうがない。奴らと契約したかどうか確かめるには、それが一番手っ取り早いんだ」

 なんの躊躇いもなく指摘されたことにリラは唖然とする。対するヴィルヘルムは至極つまらなさそうに軽く頭を振った。細い黒髪が跳ねて、挑発めいた顔をリラに向ける。
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