祓魔師陛下と銀髪紫眼の娘―甘く飼い慣らされる日々の先に―
「おっと。これはお前たちの偉大なる王と交わした契約。お前たちに邪魔などさせない」
「なにをっ?」
部屋の中に動揺が走る。フェリックスは小馬鹿にするような笑みを方伯たちに向けた。
「嘘じゃないさ。ヨハネス王は、地獄帝国の皇帝であるルシフェルさまの片腕でもあるこの私を呼び出した。自分に王としての力を与え、最後の王にして欲しいと願ったのさ。その代わり、自分の魂と、自分の血を引く者の命を私に与えると」
「そんな、馬鹿な……」
独り言のように呟いたのは、もはや誰のものか分からない。ヨハネス王は偉大なる王になることを望んでいた。与えられた祓魔の力を使い、呼び出したのは爵位を持つ上位の悪魔だった。
その悪魔と交わした契約。望み通り、ヨハネス王は領地拡大に成功し、他国との関係も自国に優位になるように築き上げ、絶対的な王政を確立させた。間違いなく歴史に名を残すことになるだろう。
しかし王は欲深かった。これから自分を超える王が現れるかもしれない。だから、願ったのだ。自分の跡を継ぐ者の命が消えることを。自分が未来永劫、絶対的な存在になるために。
それを聞かされたからといって、易々と受け入れるわけにもいかない。ヴェステン方伯とノルデン方伯が先陣切って祓魔を試みるも、あっさりとその場に敗れる。
相手は契約を交わしているうえ、格が違う。そう簡単に祓えるものでもなかった。絶望的な光景を目の前に、老齢のオステン方伯がようやく口を開く。
「ローザ嬢、いえズーデン方伯、下がっていてください。私の力で、どこまでできるか分かりませんが」
一歩踏み出したオステン方伯をフェリックスは嘲笑う。
「なにをっ?」
部屋の中に動揺が走る。フェリックスは小馬鹿にするような笑みを方伯たちに向けた。
「嘘じゃないさ。ヨハネス王は、地獄帝国の皇帝であるルシフェルさまの片腕でもあるこの私を呼び出した。自分に王としての力を与え、最後の王にして欲しいと願ったのさ。その代わり、自分の魂と、自分の血を引く者の命を私に与えると」
「そんな、馬鹿な……」
独り言のように呟いたのは、もはや誰のものか分からない。ヨハネス王は偉大なる王になることを望んでいた。与えられた祓魔の力を使い、呼び出したのは爵位を持つ上位の悪魔だった。
その悪魔と交わした契約。望み通り、ヨハネス王は領地拡大に成功し、他国との関係も自国に優位になるように築き上げ、絶対的な王政を確立させた。間違いなく歴史に名を残すことになるだろう。
しかし王は欲深かった。これから自分を超える王が現れるかもしれない。だから、願ったのだ。自分の跡を継ぐ者の命が消えることを。自分が未来永劫、絶対的な存在になるために。
それを聞かされたからといって、易々と受け入れるわけにもいかない。ヴェステン方伯とノルデン方伯が先陣切って祓魔を試みるも、あっさりとその場に敗れる。
相手は契約を交わしているうえ、格が違う。そう簡単に祓えるものでもなかった。絶望的な光景を目の前に、老齢のオステン方伯がようやく口を開く。
「ローザ嬢、いえズーデン方伯、下がっていてください。私の力で、どこまでできるか分かりませんが」
一歩踏み出したオステン方伯をフェリックスは嘲笑う。