祓魔師陛下と銀髪紫眼の娘―甘く飼い慣らされる日々の先に―
「そこまでだ!」
凛とした声が静寂をもたらす。その場にいる誰もの動きが止まった。
「……ヴィルヘルム、陛下」
見張りの男がぽつりと呟き、フィーネを離すと、その場に平伏した。解放されたフィーネも、その場に項垂れる。
「お勤めご苦労様です、ここはかまわないので、下がっていてもらえますか?」
エルマーが笑顔で、けれど有無を言わせない絶対的なもので見張りの男に声をかける。男は頭を上げて、そそくさと地下牢から出て行った。エルマーがフィーネに近づき、支えて起こそうとする。
「フィーネは悪くないんです。私が、私がお願いして」
リラはエルマーに必死に訴えかけた。しかしエルマーはリラの方に視線を寄越さない。
「リラ」
名前を呼ばれて、リラの意識はそちらに飛んだ。牢からいくらか離れたところに立っているヴィルヘルムがまっすぐにこちらを向いている。
表情は暗くて分からない。そして連れていたクルトが牢の錠の鍵を開け、地響きのような引きずるような音と共に牢が開かれた。
「え?」
まったく状況についていけないリラは呆然とするしかなかった。そしてヴィルヘルムが、牢の中に入ってくる。あまりにも似つかわしくない場所に、リラの前に王は立っている。
「陛下、なりません!」
「今更だろ」
クルトの諌める声に短く返すと、ヴィルヘルムはリラに一歩近づいた。そのたびにリラの心臓が跳ねて、不安が広がっていく。
凛とした声が静寂をもたらす。その場にいる誰もの動きが止まった。
「……ヴィルヘルム、陛下」
見張りの男がぽつりと呟き、フィーネを離すと、その場に平伏した。解放されたフィーネも、その場に項垂れる。
「お勤めご苦労様です、ここはかまわないので、下がっていてもらえますか?」
エルマーが笑顔で、けれど有無を言わせない絶対的なもので見張りの男に声をかける。男は頭を上げて、そそくさと地下牢から出て行った。エルマーがフィーネに近づき、支えて起こそうとする。
「フィーネは悪くないんです。私が、私がお願いして」
リラはエルマーに必死に訴えかけた。しかしエルマーはリラの方に視線を寄越さない。
「リラ」
名前を呼ばれて、リラの意識はそちらに飛んだ。牢からいくらか離れたところに立っているヴィルヘルムがまっすぐにこちらを向いている。
表情は暗くて分からない。そして連れていたクルトが牢の錠の鍵を開け、地響きのような引きずるような音と共に牢が開かれた。
「え?」
まったく状況についていけないリラは呆然とするしかなかった。そしてヴィルヘルムが、牢の中に入ってくる。あまりにも似つかわしくない場所に、リラの前に王は立っている。
「陛下、なりません!」
「今更だろ」
クルトの諌める声に短く返すと、ヴィルヘルムはリラに一歩近づいた。そのたびにリラの心臓が跳ねて、不安が広がっていく。