叶えてあげる。
サニーはしばらく考えてから答えた。影はずっと後でクスクスクスクス笑っていて少し腹が立つわね。


「う~ん、仕方無いな、十六夜姉妹で俺の腹と心の両方を満たそうってことだろ? 俺のリスクはねえし、メリットしかないからな、俺的には良いけどよ。お前の幻聴の影にでも聞いたらどうだ? 」


「だから幻聴じゃ無いわよ。姉さんじゃない影だから。こんな姉さんを私は知らない。幻聴で想像できる範囲ではないわ」


私も見たことのない裏の顔の姉さん。想像できたら私の脳内がおかしいのよ。私の未練の一部なのか、私にまとわりつく亡霊なのかはわからないけれど、私はこの声にいつも助けられてるのは事実。不死身のサニーがかけた呪いに近い魔術に何か関係があるのかもしれない。


だって、私が森に入ってサニーに会うまではこんなの聞かなかったもの。


『月。慌てないで。そうだったらあなたも幸せでしょう。私が幻聴だったらあなたの私に対するイメージが崩れないで幸せでしょう。なら良いじゃない? 幻聴ってことにしちゃえば』


私に惑わす言葉を渡すけれど、私は答えに辿り着く。


だから結局は助けられてるのよね、この声に。何だか癪だわ。


「まぁ、幻聴って事にするわ。これ以上言い張った所であなたが意見を変えるとは思えないし、消される可能性をあるからね」


ここはこう言っとくのが、癪だけれど正しい答えなのよね。四年も活動を共にしてれば誰でもわかることだわ。


『あら、認めてしまうのね、あなたが言ってた茶番よりもつまらないわよ。私は茶番もあなたのそういう態度も見ていて面白いから好きだけどね』


うるさいわ。本当にサニーも私なんかよりもうるさくて迷惑しかかけない影を消してしまえばいいのに。


「これは姉さん……。影、あなたに言うわ。例え幻聴であっても私はあなたを姉さんじゃない別の何かだと見るわ。だからあなたのことを姉さんと呼ぶことは今後一切無いわ。影」


四年間ずっと姉さんと呼んだり影と呼んだり、バラバラだったけれど、もう意見を変える気はないわ。
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