高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
どうしても報告したくて由基にメールを送る。

深夜をまわってから、酒のにおいをプンプンさせ、由基はわたしの部屋へとなだれ込んできた。

どうやら営業の接待とやらでいい取引になれそうだと上機嫌でわたしの玄関の扉を開けて入ってくる。

「なんだよ、報告って。いい話か?」

首元のよれよれのネクタイをゆるめながら、由基は居間のカーペットの上で寝そべった。

冷蔵庫から水のペットボトルを渡すと、わたしの手からペットボトルを奪って喉を鳴らして水をあおるように飲んでいる。

「わたし、月曜から出向になったの。子会社に」

由基はペットボトルから口を離して、だらしなく口元をゆるめながら睨む仕草をした。

「マジで? どうして早くそのこと言わねえんだよ」

「由基に会って直接話をしたかったから」

「なんだよ、早くその話、メールでもなんでもしてくれればいいのに。俺の今後に響くだろうが」

と、由基はそのまま寝ようとしたのであわてて半分以上残るペットボトルをとり、そのままテーブルに置いた。

由基はそのまま眠ってしまい、起こすにも不機嫌になるので、タオルケットを体にかけ、まくらを頭の下に敷いてあげた。

どうして彼が不機嫌になるのか、よくわからなかった。

次の日は二日酔いだった由基を介抱しながらも、なぜか体だけはわたしを求めてくる。

そのときだけは愛してるとか、好きだといいながら、わたしの調子があがったところですぐに終わってしまった。

いつにもまして雑に扱われてなんだか味気ない週末を由基と過ごし、明日からの子会社へ出向するわたしの緊張をほぐしてくれることもなく、いつもと変わりない日曜の夜に夕飯を食べて由基は自分のマンションへと帰っていった。
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