高貴なる社長のストレートすぎる恋愛に辟易しています。
会社のビルから歩いて10分ほどにあるお店で会計を済ませて太陽に照らされたアスファルトを避けながら一緒に歩く。
ビルまであと少しのところで信号機につかまる。
待っている間、お互いに横に並んでいたが、黙っていた。
交差点の向こうでどこかでみた格好のひとが蜃気楼のようにゆらゆらと立ち尽くしている。
信号が青になり、横断歩道を渡ると、ゆらめいていた人影が時頼さんに飛びかかるように近づいていった。
「ヨリ! ヨリじゃない! たぶんここにいたらヨリに会えると思って!」
甲高い声。どこかでみたと思ったら、出向1日目に出会ったあのケバ子だ。
相変わらず完璧なヘアメイクと上質なスーツとカバンで武装している。
「なんだよ。もう別れただろう」
「別れただなんて聞いてないし」
今にも抱きつこうとしているケバ子を時頼さんは両手で必死におさえつけていた。
ケバ子は小鼻をふくらませながら、わたしに視線をあわせた。
「で、なに、この女」
「新しい彼女。手、出すなよ」
ケバ子は新しい彼女というフレーズに、ぷっと軽く吹き出してすぐにおなかをおさえながら笑い転げていた。
ビルまであと少しのところで信号機につかまる。
待っている間、お互いに横に並んでいたが、黙っていた。
交差点の向こうでどこかでみた格好のひとが蜃気楼のようにゆらゆらと立ち尽くしている。
信号が青になり、横断歩道を渡ると、ゆらめいていた人影が時頼さんに飛びかかるように近づいていった。
「ヨリ! ヨリじゃない! たぶんここにいたらヨリに会えると思って!」
甲高い声。どこかでみたと思ったら、出向1日目に出会ったあのケバ子だ。
相変わらず完璧なヘアメイクと上質なスーツとカバンで武装している。
「なんだよ。もう別れただろう」
「別れただなんて聞いてないし」
今にも抱きつこうとしているケバ子を時頼さんは両手で必死におさえつけていた。
ケバ子は小鼻をふくらませながら、わたしに視線をあわせた。
「で、なに、この女」
「新しい彼女。手、出すなよ」
ケバ子は新しい彼女というフレーズに、ぷっと軽く吹き出してすぐにおなかをおさえながら笑い転げていた。