あなたに捧げる不機嫌な口付け
部屋を訪ねると、インターホンを鳴らしたにもかかわらず、恭介さんはいつもの気怠い出迎えをしなかった。
おかしいな。
再びの違和感に首を傾げつつ、鍵が開いているか確かめたらやっぱり閉まっていたので、大人しく待つ。
白い息をいくつ吐いただろうか。
寒さに鼻を赤くして、マフラーに顔を埋(うず)めながら待ったけど、全然出てくる気配がない。
電気はついている。
電話で呼ばれたんだから、中にいるのは間違いない。
……これは、入ってくるなということだ。
拒絶だ。
何かあったらしい恭介さんからの、普段通りの態度はきっと維持できないから、何も覚悟がないなら入ってくるな、という。
初めての拒絶は、別段私を傷つけず、慌てさせなかった。
そんなこと、私には知ったことではない。
今は、ただ。
持ってきてはいたものの、全然使う機会がなかった合鍵を初めて取り出して、少し手間取って差し込んで、回す。
がちゃり、張り詰めた静けさに、開錠の音は思いの外うるさく鳴った。
おかしいな。
再びの違和感に首を傾げつつ、鍵が開いているか確かめたらやっぱり閉まっていたので、大人しく待つ。
白い息をいくつ吐いただろうか。
寒さに鼻を赤くして、マフラーに顔を埋(うず)めながら待ったけど、全然出てくる気配がない。
電気はついている。
電話で呼ばれたんだから、中にいるのは間違いない。
……これは、入ってくるなということだ。
拒絶だ。
何かあったらしい恭介さんからの、普段通りの態度はきっと維持できないから、何も覚悟がないなら入ってくるな、という。
初めての拒絶は、別段私を傷つけず、慌てさせなかった。
そんなこと、私には知ったことではない。
今は、ただ。
持ってきてはいたものの、全然使う機会がなかった合鍵を初めて取り出して、少し手間取って差し込んで、回す。
がちゃり、張り詰めた静けさに、開錠の音は思いの外うるさく鳴った。