あなたに捧げる不機嫌な口付け
大丈夫。遊びだって分かってる。


「は?」


目を見開いた恭介さんに、突きつける。断定する。


「あなたが私に向けたのは戯れだった。そうでしょ」

「…………」


大丈夫。手を出さないって知ってる。


「私、そんなことを言う気もないけど言わせる気もないよ。だから安心して」


取り決めを主張したのは恭介さんなのだ。


好きだとでも言いそうな態度を取っておきながら、私に好きになるなと、俺はお前なんか好きじゃないと示したのは恭介さんなのだ。


言えない取り決め。

馬鹿な約束事。

どうしようもないほどの意地っ張り。


それなら仕方がないだろう。


仕方がないから。


だから、ねえ。


もっと意地を張る前に、一旦終わりにしよう。
< 197 / 276 >

この作品をシェア

pagetop