あなたに捧げる不機嫌な口付け
「……ええと、その、まさか祐里恵が、好きって言ってくれるとは思わなくて……」
ああもうほら。絶対そうだと思った……!
嫌な予感が当たってしまった。
あのですね、とか何とか重ねようとしたところを遮る。
「へえ? それで?」
「…………その、ごめん、なさい」
ごめん、になさい、がつくときは、本気で謝っているときだ。
単語が長くなると改まっている感じがあって、恭介さん的に敬意が高くなるらしい。
照れた解説が脳裏に蘇って、……可愛いなあ、なんて、怒っているはずなのに怒りがしぼんでしまった。
言い淀むんだから、大した問題じゃない。
本当にどうしようもないと、泣きつくか黙秘する人なのだ、はた迷惑なことに。
「……私は恭介さんが好きだけど、普段はあんまり言えてないから、たまには素直になろうと思ったんだよ」
恭介さんが大事だ、なんて、あんまり言わないから。
好きだなんて言葉は、意地を張って音にのせないから。
可愛げがあるつもりだったのに、結果、全然可愛くなくなってしまった。
おかしい。どうしてこうなったんだろう。
やっぱり私に可愛さは似合わないらしい。
可愛くなんて、なれない。
ああもうほら。絶対そうだと思った……!
嫌な予感が当たってしまった。
あのですね、とか何とか重ねようとしたところを遮る。
「へえ? それで?」
「…………その、ごめん、なさい」
ごめん、になさい、がつくときは、本気で謝っているときだ。
単語が長くなると改まっている感じがあって、恭介さん的に敬意が高くなるらしい。
照れた解説が脳裏に蘇って、……可愛いなあ、なんて、怒っているはずなのに怒りがしぼんでしまった。
言い淀むんだから、大した問題じゃない。
本当にどうしようもないと、泣きつくか黙秘する人なのだ、はた迷惑なことに。
「……私は恭介さんが好きだけど、普段はあんまり言えてないから、たまには素直になろうと思ったんだよ」
恭介さんが大事だ、なんて、あんまり言わないから。
好きだなんて言葉は、意地を張って音にのせないから。
可愛げがあるつもりだったのに、結果、全然可愛くなくなってしまった。
おかしい。どうしてこうなったんだろう。
やっぱり私に可愛さは似合わないらしい。
可愛くなんて、なれない。