あなたに捧げる不機嫌な口付け
「手作り、約束だから。二言はないよね?」


それは、

……それは。


来年も一緒にいたいみたいに聞こえるし、私はそう捉えるよ、馬鹿。


「……誘導反対」

「引っかかったのは祐里恵じゃん」


文句をつけた私に、恭介さんは無駄に胸を張って宣言した。


「……じゃあ、覚えてたら作るよ」


悔しいので望む答えは口にしなかった。音をのせたら、負けだと思った。


こうやって恭介さんは、ときどき甘い約束をする。


不意打ちみたいに小さな約束を追加していく。


……結局のところ、私は怖がりだ。


だからいまだに、これから先も恭介さんとずっと一緒にいるなんて甘い夢を、内心ほんの少しだけ、本当に少しだけ、上手く信じきれずにいる。


——だって。
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