あなたに捧げる不機嫌な口付け
「はい」

「…………ありがと」


コーヒーを運んで差し出すと、一口飲んでやっと回復した。


ミルクとかスティックシュガーとかは紅茶に入れるかもしれないからあるけど、ほとんど使わない。


飲み物は一種類だと寂しいので、コーヒーの他に、一応紅茶が二種類と緑茶、ほうじ茶がある。

常備されているお酒は料理酒のみ。


一人で楽しむと私に悪いと思うから飲まない、だとかで、早く成人しろとせっつかれている。


夜、私が帰った後でさえ飲酒するのは悪い気がするらしい。


強い恭介さんと一緒に飲むのはきっと楽しいだろうし、私の両親は上戸でつまり私も強いだろうし、新たな楽しみが増えると、今から成人が待ち遠しいのは私も同じ。


でも、私の都合ですぐに成人できるはずがないから、気にしないで買えばいいんじゃないかな。


いいから飲んだら、と勧めた私を振り切って、いまだお酒を買わないのは恭介さんの方。


恭介さんはときどき可愛い理由で理不尽だ。
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