あなたに捧げる不機嫌な口付け
朝は和食、昼は洋食、夜はまあその時々に合わせて適当に。

伝えた習慣に沿って恭介さんが準備をしてくれた。


私は朝弱いので、そんなに早くは起きられない。


休日はいつも九時くらいまでごろごろしている。もちろん、学校がある平日はもっと早起きするけど。


さすがに九時では朝御飯と昼御飯の間隔が短くて、休日はブランチが常な私にはお腹がつらい。


八時に起き、準備をして、九時少し前に恭介さんの家を訪ねた。


インターホンを押してすぐに扉が開く。


……最近、よく出迎えてくれるようになったなあ。


その頻度は恭介さんの私の優先度を示す気がして、嬉しい。


「祐里恵おはよ。待ってた」

「おはよう、恭介さん」


笑って扉を閉める。


一応鍵も掛けて、珍しくエプロンなんてしちゃっている恭介さんの脇をすり抜けた。


「エプロンなんて持ってたんだ」


深い緑のエプロンは思いの外恭介さんに似合っていた。


後ろで結ばれたお洒落な紐が綺麗な形をしていて、器用な恭介さんらしい。
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