あなたに捧げる不機嫌な口付け
「お待たせ」
「いや、大丈夫」
恭介さんが座るのを待って、私も席に着く。
「いただきます」
「どーぞ」
見守る視線に若干居心地が悪い。
味が心配なんだろう。凝視されるとものすごく食べにくいんだけど、まあ仕方ない。
「どう? どう!?」
「……まだちゃんと食べてない」
「早く食べてよ」
「食べるからそんなに見ないで」
やだ、とか言った恭介さんに促されて、急かされるままに箸を動かす。
「…………」
「どう?」
「……ええと」
意地悪をしてみようかとも一瞬思ったんだけど。
上げた視界の真ん中で揺れる、不安げかつ自慢げな瞳に、私は正直に観念した。
「美味しいんじゃないの。私は好き」
美味しい、だけでよかったのに余計な一言を付け足した私に、恭介さんはとても嬉しそうに笑って。
「それはよかった」
余計な一言を付け足すくらい動揺して、
いくら気を緩めているとはいえ無意識に動揺するくらい驚いて、
驚くくらい美味しかったのだと、私の態度から順に読み取って、恭介さんはゆっくり安堵した。
「いや、大丈夫」
恭介さんが座るのを待って、私も席に着く。
「いただきます」
「どーぞ」
見守る視線に若干居心地が悪い。
味が心配なんだろう。凝視されるとものすごく食べにくいんだけど、まあ仕方ない。
「どう? どう!?」
「……まだちゃんと食べてない」
「早く食べてよ」
「食べるからそんなに見ないで」
やだ、とか言った恭介さんに促されて、急かされるままに箸を動かす。
「…………」
「どう?」
「……ええと」
意地悪をしてみようかとも一瞬思ったんだけど。
上げた視界の真ん中で揺れる、不安げかつ自慢げな瞳に、私は正直に観念した。
「美味しいんじゃないの。私は好き」
美味しい、だけでよかったのに余計な一言を付け足した私に、恭介さんはとても嬉しそうに笑って。
「それはよかった」
余計な一言を付け足すくらい動揺して、
いくら気を緩めているとはいえ無意識に動揺するくらい驚いて、
驚くくらい美味しかったのだと、私の態度から順に読み取って、恭介さんはゆっくり安堵した。