王子様たちのシンデレラ(仮)
「おいチビ、早く飯作んねえとガチでおごりだからな」




鼻で笑った晴仁はキッチンを出て行った。




「む……っかつくぅ…!!」




どんなものにも例えられないようなムカつきがこみあげてきて、制服のスカートをぎゅっと握った。




「身長なんていらないもんっ…!」




背の順だってクラスの女子の中では真ん中より後ろ。もう十分じゃん。




「なに独り言いってんの?おチビさん」



「だっから!チビじゃないって言ってんじゃんバ……か、かか楓先輩!?」



「今バカって言おうとしたでしょ」



楓先輩は棚をあさり、中からスナック菓子を出した。




「え、もうお昼ですけど?」



「……なんかキミ、とろそうだから。どうせあと一時間ぐらい昼飯できねえんだろ?」



……だめだめ、キレたらダメ。相手は楓先輩。一個上の先輩だよ。

だめだめ!!押さえろ彩羽!!



「ぶはっ、すんげえ顔してる」



「なっ!!」



ひどくない!?顔は生まれつきですけど!?



「いいから早く飯作れよ」



「わ、わかってます!!!」




神様、助けてください。この生活、先が見えてきません。

< 26 / 63 >

この作品をシェア

pagetop