王子様たちのシンデレラ(仮)
グッツ販売だって、スタッフみんなで力を合わせればすぐ終わるよね。


_なんて、今思えばバカだった。




「彩羽ちゃんこっちタオル青足りない!」




「もうこっちにもありませーん!!」




「えぇ!?ちょっとアユー!!」




グッツ販売が始まって10分。


販売所は大混雑、スタッフの人でも足りず、早くも売り切れそうなグッツもある。




「彩羽、タオル追加持ってきた」




「おー!アユナイス!美月さん!タオルきました!!」




あたしは正直、この仕事をなめてたんじゃないかな。

なんて、ツアー初日から弱気になっている。




「お次のお客様どうぞ!」




梨華のバイト先に助っ人で行ったことがあるから正直接客は得意。レジも習ったし、まさかこんなところで役立つなんて。


心の中で梨華にお礼を言って、目の前のお客さんの注文を聞く。




「青と赤のタオルを一枚ずつと、白のTシャツ一枚と、ペンライトと、リストバンドください!」




「少々お待ちください」




あたしは一番大きなサイズの袋を取り出し、言われたとおりの商品を袋に詰める。




「……っ!ひなっ……わっ!」




販売所のテントの奥、二階のベランダ部分から手を振っている陽太が目に移り、驚いて小銭をばらまいてしまった。
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