王子様たちのシンデレラ(仮)
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「前…見えない…」



放課後、英語係のあたしは提出物であるクラス全員分のワークを持って廊下を歩いていた。


高く積み上げられたワークが視界を奪い、身長が155cmのあたしは
前も見えなければ上も下も見えない。



「はぁ……ついてない」




今日に限ってもう一人の英語係の子は休み。普通なら二人でやる仕事を一人でやるって、こんなに辛いんだなあ。




ドンッ



「わっ!?」



ぼーっとしながら歩いていると、前から来た人とぶつかってしまった。




バサバサッとすべてのワークをばらまき、おまけに自分もしりもちをついてしまった。




廊下の真ん中で恥ずかしい!!ってそれよりもぶつかった人が……



「ごめんなさい!大丈夫ですか!?」



ぱっと顔を上げると、そこにはまさかの人物がいた。



「こっちこそごめんね、大丈夫?ボーっとしてたんだ」



3年生の、河野蒼先輩。

四天王の一人で、この学校の生徒会長だ。



「いやいや、あたしが前見てなかったので!!」



「はは、あんなにいっぱい持ってたら前見えないでしょ」



あ、それもそうだ……



「英語のワーク?ってことは職員室だよね?お詫びと言っちゃなんだけど一緒に持ってくよ」




「いや、そんな!!」



河野先輩はあたしがばらまいたワークを集めて立ち上がる。



「いいんだよ、女の子なんだから」



……こりゃモテるのもわかるわ



「じゃあ…お言葉に、甘えて?」



「よろしい。さあ、行こうか」

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