捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

草原を抜け、目の前に広がる大きな森へと入った。

草木が生い茂る場所からか、メデュールの駆ける速さがゆっくりになる。


森の中は太陽の光があまり入っては来ないが、葉の隙間から差し込む淡い光がその森を幻想的に映し出していた。

細い道を歩き、やがてその道が開けると、そこには小さな屋敷と湖が広がっている。

湖の周りには花が咲き乱れ、小鳥のさえずりが歌うように聞こえていた。



「さあ、着いたぞ」

屋敷の前で、メデュールが歩みを止める。

ランスは軽々と下りると、私に手を差し出した。

手の上に自信の手を乗せると、もう片方の手が私の腰部分を支え、地面へと下ろす。


辺りを見回し、澄んだ空気に思わず深呼吸をした。

森林の香りが気持ちを穏やかにしていく。


「大丈夫か?少し疲れただろう?」

「ううん、思ったほどではないわ。それよりもここは?」

「ここはアーチャー家の別荘だ」
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