捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
「食べられるか?」
「ええ、とても美味しいわ。戦場ではいつもこういったものを作って食べたりしているの?」
「いや、もっと過酷だよ。戦場の中では火を使うようなものは作れない。煙で居場所を知られたりするからな。その場合は干した肉を忍ばせて、それを少しずつ口の中でふやかしながら食べたりするんだ。この料理は向かう間でたまに作るくらいか」
「想像以上に大変なのね」
「地獄だよ。あの光景はどこの場所でも一様に地獄でしかない。皆、自分の家族を守るため、国を守るために刃を向けてくる。私もまた自国を守るために向かってくる人間を切る。命の炎が消え去っていくのを見るたびに私の心は引き裂かれるような感覚に陥る。ああ、コイツも大事なものがあるのに、ってな。私の刃によって命が絶えた者たちは、私を悪魔だと思いながら死んでいくのだろうな」
私たちは騎士団の功績は結果としてでしか聞かない。
勝った、負けた。
ただそれだけ。
けれど、その結果のためにどれだけの命が散っていくのか、考えることすらしなかった。
彼らは命を賭けて戦っている。
この国の平和を守るために、死に逝く者は命を犠牲に、生き残る者は心を犠牲にして。
「ええ、とても美味しいわ。戦場ではいつもこういったものを作って食べたりしているの?」
「いや、もっと過酷だよ。戦場の中では火を使うようなものは作れない。煙で居場所を知られたりするからな。その場合は干した肉を忍ばせて、それを少しずつ口の中でふやかしながら食べたりするんだ。この料理は向かう間でたまに作るくらいか」
「想像以上に大変なのね」
「地獄だよ。あの光景はどこの場所でも一様に地獄でしかない。皆、自分の家族を守るため、国を守るために刃を向けてくる。私もまた自国を守るために向かってくる人間を切る。命の炎が消え去っていくのを見るたびに私の心は引き裂かれるような感覚に陥る。ああ、コイツも大事なものがあるのに、ってな。私の刃によって命が絶えた者たちは、私を悪魔だと思いながら死んでいくのだろうな」
私たちは騎士団の功績は結果としてでしか聞かない。
勝った、負けた。
ただそれだけ。
けれど、その結果のためにどれだけの命が散っていくのか、考えることすらしなかった。
彼らは命を賭けて戦っている。
この国の平和を守るために、死に逝く者は命を犠牲に、生き残る者は心を犠牲にして。