捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
部屋の入り口から、真っ直ぐに赤い絨毯が伸びている。
その絨毯の先、一段高くなった場所にその方はいらっしゃった。
――第一王女、ベルフォンヌ=バークレイ様。
肩ぐりが開いた燃えるような深紅のドレスを身に纏い、その首元にはさらにその姿が映えるように、大きめの宝石が散りばめられたネックレスが付けられている。
そして艶やかな漆黒の髪を頭の上で綺麗に纏め、横には蝶の飾りが光に反射してキラキラと輝く。
ハッキリとした二重の大きな目、スッと伸びた鼻筋、ドレスと同じ色の唇。
澄み渡る空のようなブルーの瞳からは、王女としての威厳とプライドを感じ取ることができる。
いつもは遠巻きでしか見ることのなかったベルフォンヌ様。
そのお方が、今私の前にいらっしゃる。
緊張は最高潮に達した。
ベルフォンヌ様は、いつもは国王様しか座ることの許されない椅子に深く腰掛け、私たちを見下ろすように視線を向けている。
その堂々とした佇まいに、思わずごくりと息を飲んだ。
「ランスロット、ご苦労。近くに」
「――はい」