捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
「それはつまり、今の国王の体制を良く思っていない人間が近くにいる、ということでしょうか」
「……そうよ。内部から混乱させて、この国の弱体化を図ろうとしている人間がいるということなの。たぶん、敵対する国と秘密裏に繋がっているのだと思うわ。ランスロットを騎士団長の座から引きずり下ろし、体制が崩れたところで攻め入ろうという魂胆なのかもしれないわね」
再び空気が重々しくなる。
国が大きくなればなるほど、その牙城を崩そうとする者が出るのは当たり前のこと。
しかし、私たちはその陰謀を知ることなく、毎日を過ごしている。
ランスと出会わなければ、こういった内情を知ることはなかっただろう。
知られざる国の危機に、思わず身体が震えた。
「……実はね、あなたが婚約破棄をされた理由、それはこの件に大きく関わっているの」
「――え……!?」
心臓が不安げにドクンと音を立てる。
まさか。
そんなまさか。
「……もしかして」
ベルフォンヌ様を見つめる瞳が、大きく揺らぐ。
信じられない、嘘だと必死に目で訴えるが、ベルフォンヌ様の表情は一切変わることはなかった。
「そう、そのまさかよ。あなたの元婚約者、ディアス=レイスがこの一件に関わっている」