捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
私は言葉に詰まる。
かれこれ一年も夜会にすら出ていない身で、ましてや宴の中でランスと上手くいっているように見せなければならない。
そもそも私はランスと婚約なんてするつもりはないと思っていて、ひとりで生きていくと決めていた身でもある。
けれどその噂の一蹴のために、私はランスと正式に婚約しなければならない。
仮に正式に結ばないにしても、周りに仲睦まじい姿を見せてしまえば、もう後戻りはできないだろう。
「……私、ランスとは結婚しないって思っているんです。ディアスとのこと、真実が分かって納得はしました。……でも、あのときの自分の裏切られたという気持ちを思い出すと、どうしてもランスを受け入れることができないのです」
「それは、ランスロットがあなたを裏切るかもしれない、ということ?」
私は無言で頷いた。
いくら理由があったにせよ、もうあのような思いはしたくはない。
ランスとはいえ、皆同じ人間。
いつどこで傷つけ、傷つけられるか分からないから。
深刻な顔で俯く私をよそに、ベルフォンヌ様は困ったように少し声を上げて笑う。
「ああもう、ランスロットったら肝心なことをなにも伝えていないのね。本当、乙女心の分からない奴だわ。アリシア、大丈夫よ。心配する必要なんてない。彼はあなたを決して裏切らない。だって――……」
かれこれ一年も夜会にすら出ていない身で、ましてや宴の中でランスと上手くいっているように見せなければならない。
そもそも私はランスと婚約なんてするつもりはないと思っていて、ひとりで生きていくと決めていた身でもある。
けれどその噂の一蹴のために、私はランスと正式に婚約しなければならない。
仮に正式に結ばないにしても、周りに仲睦まじい姿を見せてしまえば、もう後戻りはできないだろう。
「……私、ランスとは結婚しないって思っているんです。ディアスとのこと、真実が分かって納得はしました。……でも、あのときの自分の裏切られたという気持ちを思い出すと、どうしてもランスを受け入れることができないのです」
「それは、ランスロットがあなたを裏切るかもしれない、ということ?」
私は無言で頷いた。
いくら理由があったにせよ、もうあのような思いはしたくはない。
ランスとはいえ、皆同じ人間。
いつどこで傷つけ、傷つけられるか分からないから。
深刻な顔で俯く私をよそに、ベルフォンヌ様は困ったように少し声を上げて笑う。
「ああもう、ランスロットったら肝心なことをなにも伝えていないのね。本当、乙女心の分からない奴だわ。アリシア、大丈夫よ。心配する必要なんてない。彼はあなたを決して裏切らない。だって――……」