捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
ランスの表情が曇る。



――分かってる。

受け入れなきゃいけないことくらい。

自分の気持ちだけで、断る問題ではないことも。

だけどどうしても踏ん切りがつかないのは、私の気持ちももちろんのこと、ランスが本当に私を好きで、結婚を申し込んでいるのか分からないから。


これまでの話を聞いて、なんとなく思ったの。

もしかしたら私に結婚を申し込んだのは、私が"好きだから"ではないんじゃないかって。


私はディアスの婚約者だった。

ディアスとの婚約を破棄した後も、もしかしたら私に危害を加えてくるかもしれない。

もしかしたら私に接触してくるかもしれない。


だから、私に結婚を申し込んだんじゃないの?って。


「好き」や「愛している」なんて言葉、口だけだったらいくらでも言える。

異性を惑わせる言葉くらい、ランスだって簡単に言えてしまうんでしょう?


だって国に忠誠を誓っている人だもの、この国のために自分を犠牲にすることなんて容易いはずだもの。


――だからこそ、なのよ。


私ももちろん、ランスは後悔しないの?

私と結婚することに、抵抗はないの?

私のこと、本当に好きなの……?

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