捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
9過去
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『今日は年に一度の国王様との接見の日なんだ。アリシアも城へ行ってみないか?今日はアリアの体調も良さそうだ、毎日家に篭っていては気も滅入るだろう、たまには私と一緒に出掛けよう』
『お城、ですか?』
『ああ。城の中は限られた者しか入ることが許されないが、城の庭は入ることが可能だ。花が咲き誇り蝶が舞う、とても綺麗な場所だぞ?どうだ、行く気はないか?』
――それは十三年前のある日のこと。
その日はとてもいい天気で、ここ何日か体調が悪く寝込んでいた母も、久しぶりに少し体調が戻ったのか、上半身を起こして窓の外を眺めていた。
そんな母の元で何気ない会話をしながら、母との時間を過ごしていたときに、父が部屋へとやって来て、そう声を掛けてくれる。
まだ遊び盛りの子供だったが、母を気遣うあまり、滅多に屋敷の外へ出ることのなかった私。
父はそんな私を心配したのだろうと思う。
母も父の話を受けて、躊躇っている私に『気にせず行ってきなさい』と声を掛けてくれた。
『私は大丈夫よ。今日はとてもいいお天気ですもの。こんな清々しい空に、私の体調も珍しくいいの。だから、思う存分、楽しんでいらっしゃい。お城のお庭はとても綺麗で素晴らしいわよ。私も小さい頃に行って遊んだことがあるのよ』
『わあ……!凄く楽しみ……!でも、本当に行ってもいいのですか?』
『いいのよアリシア。あなたにはいつも我慢ばかりさせているもの、遠慮なんてする必要はないわ。……いってらっしゃい』
『……はい、お母様!ありがとうございます!』