捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

父と共に馬車へと乗り、城へと向かう。

道中、馬車の窓から流れる景色をただ静かに見つめていた。

屋敷から城までは、広大な田園地帯が広がっている。

そこでは、畑仕事に従事する人の姿がチラホラと見受けられた。

父がこののどかな場所に屋敷を建てたのには、母が昔から身体が弱かったこともあるが、なによりも私たちをのびのびと育てたいという思いがあったようだ。

家族を思う父の愛は想像よりも大きい。

私はそんな父をとても尊敬していたし、愛していた。

やがて田園地帯を抜けると徐々に建物が増え始め、城が見える頃には活気のある街並みが広がっている。

いつもはゆったりとした時間の流れる場所にいるからか、忙しく流れていく町の賑わいと、人々の多さに変に心を躍らせる。

そして城下町を抜けた先に城と町を繋ぐ橋があり、その橋を渡るとそこには綺麗に手入れされた庭が広がっていた。

庭の真ん中には噴水。

一定に空へと舞い上がるように、噴き出していて、陽の光に反射してキラキラと輝く。

緑の中に咲き誇る花々たち。

そこに舞い踊る蝶々。

そして、歌うようにさえずる小鳥たちの声。


私は思わず感歎の吐息を漏らす。


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