捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
そう言うと、私の隣へと座る。

その際、太陽のような爽やかな香りが、ふっと私の間を通り過ぎ、ドキリと胸が鳴った。



『それにしても気持ちのいい天気だな。心が穏やかになるようだ』

『……そうね。こんな毎日がずっと続けばいいのに』

『ああ。そうだな』


それから、何気ない話をランスと交わす。

その内容はあまり詳しくは覚えていないが、でも楽しい時間だったってことだけはたしかだ。


ある程度話をしたところで、会話が途切れる。

しばしふたり、目の前の風景を見つめていたあと、ランスが静かに口を開いた。


『……なあ』

『なあに?』

『さっきの歌、もう一回歌ってくれないか?』


そう改めてお願いされて、私はぼっと顔が熱くなって恥ずかしくなってしまう。

いくら綺麗な歌声だったと言われたとしても、そう言われて素直に歌えるほど勇気はない。

私は必死で抵抗した。


『え、えっとさすがに今歌うのはちょっと』

『でもさっきは歌っていただろう?』

『あれはひとりだったから……。ランスロット様のためにってのは、恥ずかしくて……』


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