捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

――ああ、もう。

なんて愛しい人なんだろう。


ランスの思いを聞き、自分の気持ちが分かった今、とても愛おしく感じて仕方がなかった。


抱きしめたい。

早くランスを笑顔にしてあげたい。


そんな思いを抱え、私の心もまた締めつけられるような感覚になった。



「さあ、これで処置は終わりだよ。手首と腕の怪我以外は特に問題はなさそうだね。痛みが引くまで、なるべく動かさないようにすること。いいね?」


診察を終え、シーモアはよいしょと椅子から立ち上がる。

そして、私の下ろしたドレスを直した。


「色々とありがとうございます、シーモア様」

「さて、隣の部屋にいるランスロット様に報告してこようかね。加えてあまり無理させないように釘もさしておくか」



シーモアはケケケとまた笑いながら冗談ぽく言うと、部屋を出て行った。


< 208 / 242 >

この作品をシェア

pagetop