捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
――ああ、もう。
なんて愛しい人なんだろう。
ランスの思いを聞き、自分の気持ちが分かった今、とても愛おしく感じて仕方がなかった。
抱きしめたい。
早くランスを笑顔にしてあげたい。
そんな思いを抱え、私の心もまた締めつけられるような感覚になった。
「さあ、これで処置は終わりだよ。手首と腕の怪我以外は特に問題はなさそうだね。痛みが引くまで、なるべく動かさないようにすること。いいね?」
診察を終え、シーモアはよいしょと椅子から立ち上がる。
そして、私の下ろしたドレスを直した。
「色々とありがとうございます、シーモア様」
「さて、隣の部屋にいるランスロット様に報告してこようかね。加えてあまり無理させないように釘もさしておくか」
シーモアはケケケとまた笑いながら冗談ぽく言うと、部屋を出て行った。