捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
「……どうした?」

私の呼び止めに、ランスはまた怪訝な表情を浮かべながら振り向く。

心臓がまた激しさを増す。

手が小刻みに震える。

そう自分から叫んでおいて、次の言葉がなかなか出てこない。

言わなきゃって、言うんだって思っているのに、声を発することができなかった。



そんな口をぱくぱくとさせている私を、調子が悪くなったのだと勘違いしたランスが、血相を変えて私の傍へと駆け寄ってくる。


「おい!大丈夫か!?アリシア、しっかりしろ!」

「ち、ちが……、違うの……、そうじゃ、なく、て」

「なにが違うんだ!苦しいのか!?またシーモア呼びに」


「違うの……、す、好き、なの。ランスのことが、好き」


その言葉に、ランスの動きがピタリと止まった。

目を見開く。

大きくなった瞳で、私を見つめた。



「……あ、りしあ?」


「好きよ、ランス。……愛しているの」
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