捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
それからの記憶は曖昧だった。
こそばゆいと感じたものも、自分の身体の中の異質な痛みも、いつしかふわりと昇り詰めるような感覚に変わる。
それは何回も何回も繰り返し襲って、そのたびに私は意識を軽く手放し、そして戻ればまた快楽の海に溺れていく。
そんな途切れ途切れの記憶の中で、情熱的な瞳で私を求めるランスの顔だけは覚えていた。
――そして、この言葉も。
『アリシア、愛している。もうお前は私だけのものだ』
……ああ、なんて幸せなのだろう。
このまま死んでしまってもいいくらいに、私の心は満たされているの。
きっと、私はあなたに会ったときから惹かれていたのかもしれない。
でも本当の気持ちに気付かなくて、気付いていたのに認めたくなくて、意地を張っていた。
けれどこれからはあなたにちゃんと伝えていこうと思うわ。
好きだって。
ランスを愛してる、って。
あなたももう、私のものだって。
今までの言えなかった分を、たくさんあげるのよ。
ランスが驚いちゃうくらいに、いっぱい。
そしてランスも微笑みながら"私もだ"と返してくれたなら。
私はそれだけで、幸福に満たされるわ――……。