捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
――翌日。
今日もいつもと変わらず一日過ぎていく。
……そう思っていたのに、突然激しく部屋の扉を叩かれたことで、それは一変した。
「……何事!?」
その音で、ぼんやりとしていた意識がはっきりと覚める。
アイリーンが慌てて扉を開けると、そこには侍従のひとりが立っていた。
「お部屋でお休み中のところ、大変申し訳ありません。ご主人様より早急に応接室へ来るようにとのことですっ!」
そう話す侍従はやけに慌てているように見える。
父に、とにかく早く私を呼んでこいと急かされたのだろう。
応接室にということは、誰かがこの屋敷を訪れたようだ。
でも兄やスカーレットであれば、こんな対応はしないはず。
……では、誰が?
「誰がいらっしゃったの?生憎だけれど私は会う気など……」
「そういうわけにはいかないのです。必ず来るようにとのご命令ですので、どうか早く応接室へ!」
私の言うことなど聞く耳も持たず、とにかく早く行くようにと促されてしまう。
仕方なく私はショールを上に羽織ると、部屋を出た。