捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
***
「アリシア!婚約、本当におめでとう!」
屋敷に戻って二日後、スカーレットが屋敷へと訪れる。
どうやら兄がスカーレットに話をしたようで、私を見るなり勢いよく抱きしめてそう言った。
「あ、ありがとう、スカーレット」
私は戸惑いながらも、そう言葉を返す。
「嬉しくて飛んできてしまったわ。どうしてもお祝いの言葉を直接言いたくて」
最初、その言葉を言うためだけに来たのではないと思っていた。
しかしスカーレットの話の内容を聞く限り、ディアスの件はなにも知らされていないようだ。
たぶん兄がスカーレットに余計な心配をさせないようにと、加えて軽々しく他人に話せる内容ではないと判断し、敢えてその件に関しては言わなかったのだろう。
でもその方がいい。
結果的に無事に帰って来られたのだし、私にとってはもう終わったことだから。
スカーレットにまで悲しい顔をさせたくはない。
「少し時間がかかってしまったけれど、ランスの婚約になれて、今はとても良かったと思っているわ」
「ようやく素直になれたのね。本当にもう、意地っ張りなんだから」
「ようやくって?」
「実はもっと前から惹かれていたんでしょう?私、薄っすらと気付いていたのよ」
スカーレットは少し呆れたように笑う。
「……そう、なの。スカーレットは知っていたのね」
「あんなショックなことがあったあとだもの、認めることを恐れるのは仕方がないわ。でも、前を向くのは大事なこと。いつまでも立ち止まってはいられないのよ。あなたが最善の結果を選んで本当に良かったと思っているの。意地を張っていたってなにもいいことないもの。だからとても安心したわ」
「アリシア!婚約、本当におめでとう!」
屋敷に戻って二日後、スカーレットが屋敷へと訪れる。
どうやら兄がスカーレットに話をしたようで、私を見るなり勢いよく抱きしめてそう言った。
「あ、ありがとう、スカーレット」
私は戸惑いながらも、そう言葉を返す。
「嬉しくて飛んできてしまったわ。どうしてもお祝いの言葉を直接言いたくて」
最初、その言葉を言うためだけに来たのではないと思っていた。
しかしスカーレットの話の内容を聞く限り、ディアスの件はなにも知らされていないようだ。
たぶん兄がスカーレットに余計な心配をさせないようにと、加えて軽々しく他人に話せる内容ではないと判断し、敢えてその件に関しては言わなかったのだろう。
でもその方がいい。
結果的に無事に帰って来られたのだし、私にとってはもう終わったことだから。
スカーレットにまで悲しい顔をさせたくはない。
「少し時間がかかってしまったけれど、ランスの婚約になれて、今はとても良かったと思っているわ」
「ようやく素直になれたのね。本当にもう、意地っ張りなんだから」
「ようやくって?」
「実はもっと前から惹かれていたんでしょう?私、薄っすらと気付いていたのよ」
スカーレットは少し呆れたように笑う。
「……そう、なの。スカーレットは知っていたのね」
「あんなショックなことがあったあとだもの、認めることを恐れるのは仕方がないわ。でも、前を向くのは大事なこと。いつまでも立ち止まってはいられないのよ。あなたが最善の結果を選んで本当に良かったと思っているの。意地を張っていたってなにもいいことないもの。だからとても安心したわ」