捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
本当は人とは会いたくはない。
けれどこの切迫した感じは、これ以上拒んでしまったらいけないように思えた。
一体誰がなんの為に会いに来たというのかしら。
私にどんな用があるというの?
応接室の前に着くと、侍従は扉を叩いて声を掛ける。
入るようにと父の声が聞こえ、私は部屋へと入った。
俯きがちな視線を上げる。
そこで目にした人物に、思わず私はごくりと息を飲んだ。
……嘘!?
なぜこのお方がここに……!?
――あのときの記憶が蘇る。
忘れかけていた記憶が、一瞬で鮮やかに思い出された。
そこにいた人物、それは――……。