捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
そう言ってアーチャー様は、傍らに置いていた鞄からを紙を取り出し、私達に見えるようにしてテーブルに置いた。
それは縁談をする際に必要な、書類。
この書類を見るのはディアスのとき以来だ。
文章の最後には、しっかりとアーチャー様の名が直筆で書かれてあり、偽りのものではないことを物語っていた。
……嘘でしょう?
どうしてアーチャー様が私に求婚を?
思いもよらぬ事態に、頭が混乱して上手く事情を飲み込めない。
位は私の方が下。
ネリベル家から考えれば、驚くべき良縁だ。
けれど私と結婚したって、逆にアーチャー家にはなんの得もない。
むしろ婚約破棄された令嬢に求婚したと、周りから噂され笑われてしまう可能性だってある。
接点も利益も全くといっていいほどないのに、どうして私なんかに縁談を申し込むの!?