捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
おかしい。
なにかがおかしい。


もし良からぬことを企んでの求婚であれば、もちろんそんなものに巻き込まれたくはないし、関わりたくもない。

逆に裏がなにもなければ、この求婚はアーチャー家にとって、名を傷付けるものになってしまうかもしれない。


どちらにしろ、この縁談は到底受け入れられるものではない。

だって、アーチャー様には相応しい女性がいるのだから。


「……お断り致します、アーチャー様。なにを血迷っているのか知りませんが、あなたよりも下級である私に縁談を申し込むようなご身分のお方ではないはず。よくお考え下さいませ」

「あ、アリシア!失礼だぞ!?」

「失礼を承知で言っているのです、お父様。どう考えてもおかしい話なんですもの。お父様も同じようにお思いではないのですか?」


そう言うと、父は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、口篭もる。


父もまた私と同じような考えを持っていたのだろう。



……当たり前だわ。

こんな話、信じられるわけがないもの。



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