捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
父はアーチャー様に対する私の態度に不機嫌だった。
アーチャー様がお帰りになった後、部屋へとやって来て厳しい口調で咎める。
「アリシア、侯爵様に対してのあの態度はなんだ!侯爵様の気分を害して、私の地位が危うくなったらどうするんだ!?」
父は顔を真っ赤にして怒っていた。
それに対して非常に申し訳なく思っている。
でもどうしても我慢ができなかった。
「ごめんなさい、お父様。それに関してはとても反省しているわ。……でも、分からないのよ。信じられないの。だってどう考えてもおかしいでしょう?そりゃあ侯爵家に嫁ぐんですもの、ネリベル家としてはこの上ないお話ではあるけれど、王女様との噂があったお方が縁談を申し込むなんて、なにか裏があるとしか思えないのよ」
「そ、それは確かにそうだが……。だがあの失礼な振る舞いは貴族としても問題だぞ」
「それも十分反省してる。でももしアーチャー様が私になにかしらの幻想をお持ちになっていたのなら、あの私の態度で現実を知ったと思うわ。きっと、この縁談の話はなかったことにするはずよ。やっぱりあり得ないもの。私を妻にしたいだなんて、そんなの絶対に」
「ううむ……」
父は考え込むように顎に手をかけると、唸るような声を上げた。
私も父をじっと見つめながら、考える。