捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
……嘘。
「あ、諦めていないって……」
「私も最初断りの報告をしに来たのだと思っていたんだが、侯爵様は違うとはっきり仰ったんだ。その上でお前と話がしたいと。そう言って」
「そ、そんな……」
嘘でしょう!?
断らなかったですって!?
私の態度に幻滅しなかったの!?
さあっと血の気が引いた。
まさかそんなことになるとは思ってもいなかったから、私の頭の中が真っ白になってしまう。
……あり得ない。
どうして断らないの?
変よ。
どうかしてる。
そんな人と会って話なんてできるわけないじゃない。
「無理よ、会えるわけないわ。お父様、私は病で寝込んでいると、だから会えないと、そう伝えてくれないかしら」
「そ、それは無理だ」
「……どうして!?」
「まさかの出来事で、混乱しまってつい……」
父のバツの悪い表情に、ますます嫌な予感が大きくなる。
この感じは、もしや……
「一応聞くけど、もしかしてお父様……?」
「屋敷の中へ通してしまった。侯爵様には"今呼んでくる"と言ってそれで……」