捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
これで部屋の中には私とアーチャー様、ふたりだけになった。
アーチャー様は、私が父を部屋から追い出しふたりになったことで、少し驚いたような表情を浮かべたが、すぐにいつもの表情に戻る。
「ふたりきりとは、随分と大胆だな」
「父がいては本音を話しにくいですもの。私も、アーチャー様も」
その言葉にアーチャー様は笑う。
また笑ってる。
人が真剣に話しているというのに、どうしてこう面白がるのだろう。
全く気分が悪いったら。
未だ表情から笑みが消えないアーチャー様を睨みつつ、向かいのソファーに腰掛けた。
「……いい加減、笑うのを止めたらどうです?」
「ああ、ごめん。つい楽しくなってしまってね。やはり私の目に狂いはないな」
意味が分からず、つい怪訝な表情になる。
しかし、アーチャー様の表情は変わらなかった。
狂いはないって、なんのこと?
やっぱりこの人ちょっと変だわ。
これ以上意味の分からない話で、時間が過ぎていくのも勿体無いと思った私は、一回咳ばらいをすると本題を切り出した。