捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
「早速ですけど、前も言ったように私はあなたとは結婚する気はありません」
「へえ、それはどうして?」
「アーチャー様にはもっと相応しいお方がいるからですわ。私に構う時間があるなら、その方へ手紙のひとつやふたつ送ったらどうでしょう?」
「そうか、君は手紙が欲しいんだな。分かった、では今後アリシアに手紙を書くこととしよう。私はアリシアこそがアーチャー家にとって相応しい人間であると思い、こうやって結婚の申し込みをしにきているんだが」
「そういうことではありません!ふざけないで下さい!一体私のどこが相応しいのです?こんな私に侯爵の妻が務まるはずがないでしょう」
「そうかな?その気の強さ、十分に軍人侯爵の妻として素質があると思うんだがな」
……ああ言えばこう言う。
わざと強めに言っているのに、動じやしない。
むしろ余裕すら伺えるほどだ。
これじゃあまるで私がむきになって怒る子供みたいだわ。
駄目よ、アリシア。彼の言葉に踊らされてはいけない。
ここは冷静になって。
感情を露わにしては負け。
私は気持ちを落ち着けるように、一旦話を切ると大きく息を吐く。
そして、また話を続けた。