捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
でも、裏があるって考えなきゃどうしても納得できなかったのよ。
むしろその思惑があった方が、逆に気持ちの面では前向きに考えられたのかもしれない。
だからと言って、そういった思惑があったからと結婚する気はないけれど。
でも、その線は完全に断ち切られてしまった。
ではどうして?
なぜそんな、いち伯爵家の令嬢である私に結婚を申し込むのだろう。
考えても考えても、納得のいく答えが見つからない。
会話は途切れ、少しの沈黙が流れる。
私は答えが見つからないまま、それでもその理由が何かを考え込んでいた。
その間もアーチャー様はじっと私を見ている。
やがて、その沈黙に耐えられなくなったのか、アーチャー様から口を開いた。
「ひとつ、言いたいことがあるのだが」
「……なんでしょう?」
「結婚を申し込むのに、まず大事なものがあるはずだが、君はそこを考えはしないのか?」
「え?」
大事なもの?
……なにそれ。
「なぜ私がアリシアに結婚を申し込んだか。そんな簡単な理由を、どうして君は思いつかないんだ?」