捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
そう問われて、答えに詰まる。
アーチャー様の顔から、笑みが消えた。
とても真剣な眼差しに、ごくりと息を飲む。
簡単な理由……?
私との結婚で、行き着く答えなんてなにも……。
「分からないのか?」
「……考えても思いつかないわ」
私の返事にアーチャー様は、大きくため息をついた。
その態度も問いも、今の私には理解出来ずに困惑してしまう。
え、なんなの?
その呆れたような感じのため息は。
「そうか。なにも気付いてはいないのか」
「な、なんなのそれは」
だって考えても分からないんだもの、仕方ないじゃない!
アーチャー様は、また深いため息をつく。
そして、こう言い放った。
「理由は簡単だよ。私がアリシアを好きだということ。ただそれだけだ」