捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
必死に昔の記憶を辿ろうとしたけれど、それに行き着くような思い出は、一切浮かんでは来ない。


思い出されるのは、先程の出来事だけ。


慌てて頭を左右に振って、忘れようとした。



「一体、私とアーチャー様の間にどんな接点があったのかしら……」


知りたいようで知りたくない。

知ってしまったら後戻りできなくなりそうで、それがとても怖かった。


できればこのまま会わずにいたい。


あんな怖い思いをするのはもうゴメンなのよ。


あの瞳で見つめられるのも、あの声で名前を呼ばれるのも、全部私には恐怖でしかない。



今のままでいいのよ、私は。

誰かに好かれようなんて、これっぽっちも思っていない。


ひとりでいい。

ひとりがいいの。


なのに……。


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