捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
……疲れ。確かにそれもあるかもしれない。

でも他にも理由があると、自分自身で理解していた。


多分、これは知恵熱だ。

ランスに翻弄され、頭の中での処理が追い付かず、ヒートしてしまった故のもの。

けれど正直私も寝込んでしまうまでになるなんて、思ってもみなかった。


それだけ、彼は私には刺激的過ぎる。

……それとも、私に耐性がないだけなのだろうか。


「色々、ね……。本当よね、こんなことになるとは思ってもみなかったわ」

「周りでも相当な噂になっているわ。今じゃ夜会に行ってもこの話題で持ちきりよ」

「え!?嘘……!」

「嘘じゃないわよ。誰にも靡くことのなかったあのアーチャー侯爵様が、ネリベル家の嫡女にご執着であると。そのショックから倒れられた令嬢もいるとか」


……なんてこと。

これではますます家から出られないじゃないの。


頭がキリキリと痛む。

これ以上ランスのことで悩みたくはないのに、増えていく一方だ。

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