捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
「……あ。そう言えば、ひとつ聞きたいことがあるのだけれど」

と、ふとディアスの件を思い出す。

そうよ、聞かなきゃと思っていたんだわ。


「なんだ?」

「一昨日私の友人でもあるスカーレットが見舞いに来たのだけれど、そのときに聞いてしまったの。ディアスのことで」


"ディアス"

その名を私が口にした瞬間、ランスの表情が一変する。


「……それがどうした」

「え?……あ、あの」

「なにを聞いたんだ」


その表情は背筋が凍るほどに殺気立っており、思わず口篭もってしまう。


「あ、そ、その……、勘当されて庶民と結婚したと聞いて……、それでどうしてなのか、と」


聞くんじゃなかったと、物凄く後悔した。

まさかこんなに怒るなんて思ってもみなかったから。


……でも、この変わりよう。

確かにランスはディアスの件を知っているんだわ。


ランスは少し無言で空(くう)を眺めていた。

そして静かに話し出す。

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