捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
私の心臓は早鐘を打ち続けたまま、落ち着くことはない。

ましてやそのランスの笑みに、身体の体温までが上昇していくようだった。


――不思議な感覚。

それは、前にも似たようなものを経験していたに思う。


ああ、そうだ。

昔ディアスに抱いた、淡い感情。



しかしそのときよりも、もっと激しい。


……この感じ。

なんとなく気づいてはいた。


でも受け入れてしまったら、また不安も同時に生まれてしまう。


二度とあんな思いはしたくない。

傷つくのはもう、嫌なの。



だから、自分に言い聞かせる。

これはただ、この場の雰囲気に流されてしまった故に生まれただけの感情だって。


それ以上も、それ以下もない。



私がランスに捕まるわけがないんだから……。
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