捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
こ、このドスケベ!!
ついそんな言葉を発してしまいそうになった。
いつもはドレスのスカートで隠れている下半身部分が、キュロットとロングブーツでそのラインがしっかりと露わになっている。
まさかそんな発言をランスの口から聞くとは思わなかった。
硬派で紳士な男だと思っていたのに……!
一気に顔が赤くなる。
そんな私を見て、ランスは声を出して笑った。
「冗談だ。なんでも真に受けるな、アリシアは。まあ、そういう所が可愛いと思うが」
「冗談が過ぎるわよっ!」
「ところで、乗馬の経験はあるか?」
「え?ええ。少しは」
「なら問題ないな」
屋敷を出て庭へ行くと、一頭の馬が主人が来るのを静かに待っていた。
ランスの愛馬、『メデュール』
貴族が嗜む乗馬用の馬よりも一回り大きく、四本の脚もガッチリとしていて長く太い。
キレ長の目、すっと通った鼻筋に、艶やかな漆黒の毛色。
そして気品のある出で立ち。
さすが、戦場で活躍する馬なだけはある。